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東京地方裁判所 昭和56年(ワ)9304号 判決

原告

日動火災海上保険株式会社

ほか一名

被告

株式会社遠藤機設

ほか三名

主文

一  被告らは各自、原告日動火災海上保険株式会社に対し、金三一二万八〇〇〇円及び内金二八四万八〇〇〇円に対する昭和五三年一二月二日から、内金二八万円に対する被告株式会社遠藤機設及び被告石坂光春は昭和五六年八月二三日から、被告樋口建材有限会社は昭和五七年一一月一九日から、被告村元良一は同年一月三一日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは各自、原告東豊運輸株式会社に対し、金二四二万二〇〇〇円及び内金二二〇万二〇〇〇円に対する昭和五三年一〇月四日から、内金二二万円に対する被告株式会社遠藤機設及び被告石坂光春は昭和五六年八月二三日から、被告樋口建材有限会社は昭和五七年一一月一九日から、被告村元良一は同年一月三一日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は被告らの負担とする。

五  この判決は、原告ら勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは各自、原告日動火災海上保険株式会社に対し、金三一四万八〇〇〇円及びこれに対する昭和五三年一二月二日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告らは各自、原告東豊運輸株式会社に対し、金二六三万二六〇〇円及びこれに対する昭和五三年一〇月四日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和五三年一〇月四日午前一一時二〇分ころ

(二) 場所 東京都東村山市美住町二―二五先路上

(三) 加害車両 (1)被告石坂光春運転の大型貨物自動車(多摩一一て・・三七、以下、石坂車という)

(2)被告村元良一運転の大型貨物自動車(多摩五六む五二一八、以下、村元車という)

(四) 被害車両 訴外井上喜司夫運転の大型貨物自動車(練馬一一か一一一六、以下、原告車という)

(五) 態様

原告車が事故現場の道路を青梅方面から田無方面に向けて進行中、反対方向から並進する石坂車と競走するような状態で進行してきた村元車が石坂車の前方に車線変更したところ、進路を譲らなかつた石坂車が村元車との衝突を避けるべくハンドルを右に切つたため、石坂車は中央線を越えて原告車と衝突した(以下、本件事故という)。

2  責任原因

(一) 被告石坂光春(以下、被告石坂という)

被告石坂は、村元車が自車の前方に車線変更しようとしてきたのであるから、衝突を避けるため速度を落とすなどして安全に運転すべき注意義務があるのにこれを怠り、自車を対向車線に侵入させた過失があるから、民法七〇九条により損害賠償責任を負う。

(二) 被告株式会社遠藤機設(以下、被告遠藤機設という)

本件事故は、被告遠藤機設の従業員である被告石坂が同社の事業の執行につき、前記過失によりひき起こしたものであるから、被告遠藤機設は民法七一五条一項により損害賠償責任を負う。

(三) 被告村元良一(以下、被告村元という)

被告村元は、車線変更するにあたり石坂車と衝突しないように十分な車間距離をとり、安全を確認して車線変更すべき注意義務があるのにこれを怠り、強引に車線変更して石坂車の進路を妨害した過失があるから、民法七〇九条により損害賠償責任を負う。

(四) 被告樋口建材有限会社(以下、被告樋口建材という)

本件事故は、被告樋口建材の従業員である被告村元が同社の事業の執行につき、前記過失によりひき起こしたものであるから、被告樋口建材は民法七一五条一項により損害賠償責任を負う。

3  保険契約の締結

原告日動火災海上保険株式会社(以下、原告日動火災という)と原告東豊運輸株式会社(以下、原告東豊運輸という)は、昭和五三年八月七日、同原告所有の原告車について、保険期間を同年同月八日から昭和五四年八月八日まで、保険金額を金三〇〇万円とする車両保険契約(以下、本件契約という)を締結した。

4  損害

(一) 原告日動火災

(1) 車両損害 金二八四万八〇〇〇円

原告車は、本件事故により大破し修理不能となり、時価相当の金四〇〇万円の損害を被つたが、原告日動火災は原告東豊運輸に対し、昭和五三年一二月二日保険金として金二八四万八〇〇〇円を支払い、商法六六二条により同額の損害賠償請求権を取得した。

(2) 弁護士費用 金三〇万円

(二) 原告東豊運輸

(1) 車両損害 金一一五万二〇〇〇円

原告車の前記時価額から前記保険金支払額を控除すると金一一五万二〇〇〇円となる。

(2) レツカー代 金七万円

(3) 休車損害 金一一六万〇六〇〇円

本件事故により原告車が大破し修理不能となり、これに替る車両が納入されるまで事故後二か月を要したが、原告車の事故前九か月間における一か月平均の運賃収入金八二万九〇〇〇円から経費分として三〇パーセントを控除した額を基礎として休車期間中の収益減を算出すると、金一一六万〇六〇〇円となる。

(4) 弁護士費用 金二五万円

5  よつて、被告ら各自に対し、原告日動火災は合計金三一四万八〇〇〇円及びこれに対する前記保険金支払日である昭和五三年一二月二日から、原告東豊運輸は合計金二六三万二六〇〇円及びこれに対する本件事故日である同年一〇月四日から各完済まで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求の原因に対する認否

(被告石坂及び被告遠藤機設)

1 請求の原因1のうち、(一)ないし(四)の事実及び(五)のうち青梅方面から田無方面に向けて進行中の原告車に対し、対向進行中の石坂車が中央線を越えて衝突したことは認めるが、石坂車が村元車と競争するような状態で進行し、進路を譲らなかつたとの点は否認する。

村元車が石坂車を追い越そうとして急に石坂車の車線側に寄つてきたため衝突の危険が発生し、石坂車がこれを回避すべく反射的に右へハンドルを切つたところ、対向車線を走行してきた原告車と正面衝突したものであるから、本件事故は被告石坂の過失に起因するものではなく、被告村元の過失により生じたものである。

2 同2(一)及び(二)の責任は争う。

3 同3の事実は知らない。

4 同4の事実は知らない。

(被告村元及び被告樋口建材)

1 請求の原因1(五)のうち、並進する石坂車と競争するような状態で進行してきた村元車が石坂車の前方に車線変更したため本件事故が生じたことは否認する。村元車は本件事故には全く関与していない。

2 同2(三)及び(四)のうち、被告村元が本件事故当時被告樋口建材の従業員であつたことは認めるが、責任は争う。

3 同3の事実は知らない。

4 同4は争う。

三  抗弁

(被告村元及び被告樋口建材)

仮に被告村元及び被告樋口建材の責任が認められるとしても、原告らの請求にかかる損害賠償請求権は、同被告らに対する関係では本件事故発生日である昭和五三年一〇月四日から三年の経過により時効消滅しているから、これを援用する。

四  抗弁に対する認否、反論

抗弁事実は否認する。原告らが本件事故の態様及び村元車も加害車であることを知つたのは、被告石坂及び被告遠藤機設の答弁書が提出された昭和五六年九月二一日であるから、消滅時効は完成していない。

第三証拠〔略〕

理由

一  事故の発生

1  昭和五三年一〇月四日午前一一時二〇分ころ、東京都東村山市美住町二―二五先路上において、青梅方面から田無方面に向けて進行中の原告車に対し、対向進行中の石坂車が中央線を越えて衝突したことは原告らと被告石坂及び被告遠藤機設との間においては争いがなく、原告らと被告村元及び被告樋口建材との間においては、成立に争いのない甲第一号証ないし第四号証によりこれを認める。

2  前掲甲第三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める乙第一号証、証人青木利夫の証言及び被告石坂本人尋問の結果によれば、次の事実を認めることができ、他にこれに反する証拠はない。

本件事故現場は、西武多摩湖線をまたぐ陸橋の頂上から田無寄り約八〇メートルの地点で、現場付近の道路は、車線全幅員約一三メートル、片側二車線の都道であり、第一車線と第二車線の間に黄線が引かれ、車線変更禁止場所となつていた。

石坂車は、本件事故現場の手前において、訴外青木利夫運転の大型貨物自動車(以下、青木車という)とペアを組み、同車の後方から約一五メートルの車間距離をとつて、中央寄り第二車線を毎時六〇ないし六五キロメートル(制限速度は五〇キロメートル)の速度で進行していた。

訴外青木利夫は、事故当時前記青木車を運転中、自車の右サイドミラーを通して、石坂車がいきなり右へ出て対向車と衝突したのを目撃し、すぐに自車を道路左側へ寄せて約三〇メートル走行し、陸橋の頂上付近に停車させ、車からおりて石坂のもとへかけつけ、事故の原因を尋ねたところ、石坂は、今行つた樋口建材の車に幅寄せされた旨述べたが、青木自身は樋口建材の車に気づかなかつた。

3  ところで、被告村元及び被告樋口建材は、村元車は本件事故には全く関与していない旨主張し、成立に争いのない甲第五号証、前掲乙第一号証及び被告村元本人尋問の結果によれば、被告村元は、事故当日現場付近の道路を走行し、第一車線から第二車線に車線変更したことはあるが、その場所は事故現場より相当手前の、東村山浄水場入口交差点を過ぎて間もなくであると述べていることが認められる。

しかし、前掲甲第五号証(被告村元立会の実況見分調書)によつても、被告村元が車線変更したのは陸橋の上り坂にかかつてからであることが認められるし、被告村元本人尋問の結果によつても、村元車は、車線変更をして青木車と石坂車との間に入つたこと、その後原告車とすれちがつたこと、被告村元は青木車が陸橋の頂上付近に停車しているのを見たことが認められる。

さらに、被告村元の本人尋問における供述と前掲甲第五号証及び乙第一号証とを対比検討してみると、前記東村山浄水場入口交差点から現場までの距離、或いは陸橋の坂道の長さ等に関する被告村元の供述は矛盾が多く、結局、村元車が車線変更をした場所に関する被告村元の供述部分は信用することができない。

4  他方、被告石坂の前記東村山浄水場入口交差点から現場までの青木車、石坂車及び村元車の走行状態に関する供述は詳細かつ具体的であり、被告石坂本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、石坂車の左側第一車線を競争するような状態で並進していた村元車が事故現場直前で第二車線の青木車と石坂車の間に進入しようとしたため、前記高速度で走行していた石坂車が村元車との衝突を避けるため右に急転把し、原告車と衝突するに至つたものと認めることができ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

5  なお、証人青木利夫の証言によれば、訴外青木利夫は、本件事故直後は石坂のことが気がかりで右側車線を走行する車には注意が届かなかつたことが認められるから、同人が事故直後、青木車の後続車である村元車に気づかなかつたことも肯けるところである。また、被告石坂の詳細かつ具体的な供述及び事故現場が陸橋の上り坂の途中であることに照らしてみても、被告石坂が居眠り運転をしていたと考えることは困難である。

よつて、本件事故態様に関する被告村元及び被告樋口建材の主張は採用することはできない。

二  責任原因

1  被告石坂

被告石坂本人尋問の結果によれば、被告石坂は、陸橋手前の前記交差点を過ぎてから事故現場に至るまでの間、自車の後方にいた村元車が左側第一車線へ出て追い上げてきたことから、村元車が自車の前へ出たい様子に気づいていたことが認められるところ、前記のとおり競争するように並進していた村元車が自車前方に車線変更しようとしてきたのであるから、被告石坂は、予め衝突を避けるため速度を落とすなどして安全に運転すべき注意義務があるのにこれを怠り、前記のとおり制限速度(五〇キロメートル)を上回る時速六〇ないし六五キロメートルの高速度で進行した過失により、村元車の車線変更に際し右に急転把せざるを得ず、自車を対向車線に侵入させた過失があるというべきであるから、民法七〇九条により損害賠償責任を負う。

2  被告遠藤機設

前掲乙第一号証及び弁論の全趣旨によれば、本件事故当時、被告石坂は、被告遠藤機設の従業員であり、同社の事業の執行にあたつていたことが認められるから、被告遠藤機設は民法七一五条一項により損害賠償責任を負う。

3  被告村元

前記認定のとおり、本件事故現場付近は車線変更が禁止されている場所であり、また、石坂車は青木車の後方約一五メートルの位置を前記高速度で進行していたのであるから、被告村元は車線変更を差し控えるべきであるのにこれを怠り、前記態様で車線変更し、石坂車の進路を妨害した過失があるというべきであるから、民法七〇九条により損害賠償責任を負う。

4  被告樋口建材

被告村元が本件事故当時被告樋口建材の従業員であつたことは当事者間に争いがなく、被告村元本人尋問の結果によれば、当時被告村元は被告樋口建材の事業の執行にあたつていたことが認められるから、被告樋口建材は民法七一五条一項により損害賠償責任を負う。

三  そこで、抗弁につき判断する。

被告村元及び被告樋口建材は、原告らと同被告らとの関係において消滅時効を主張している。

なるほど、原告らの同被告らに対する本件訴が提起されたのは昭和五六年一二月一二日であり、本件事故発生日から既に三年を経過していたことは記録上明らかである。

しかしながら、前掲甲第一号証ないし第五号証によれば、本件事故は、被告石坂のみの業務上過失傷害事件として警察の捜査が行われており、昭和五四年四月二〇日に行われた被告村元立会の実況見分時においても、被告村元は被疑者としてではなく、参考人として取扱われていたことが認められる。

そして、原告東豊運輸代表者尋問の結果によれば、原告東豊運輸は、右のような警察の取扱い等により、被告石坂及び被告遠藤機設に対する本件訴を提起し、昭和五六年九月二一日に同被告らの答弁書によつてその事実を知らされるまでの間、村元車も加害車であり、被告村元及び被告樋口建材に対して損害賠償を請求し得るという事実を知ることができなかつたものと認めることができる。

なお、前掲乙第一号証は右認定を揺るがすものではないし、他に右認定を覆すに足りる証拠もない。

そうすると、消滅時効は未だ完成していないことは明らかであるから、被告村元及び被告樋口建材の主張は採用することができない。

四  保険契約の締結

原告らと被告石坂及び被告遠藤機設との間においては成立に争いがなく、原告らと被告村元及び被告樋口建材との間においては原告東豊運輸代表者尋問の結果により真正に成立したものと認める甲第七号証、第八号証、同尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告日動火災と原告東豊運輸が昭和五三年八月七日本件契約を締結した事実を認めることができ、他にこれに反する証拠はない。

五  損害

1  車両損害

原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇号証、前掲甲第八号証、原告東豊運輸代表者尋問の結果により真正に成立したものと認める甲第九号証の一、二、第一一号証の一、二及び同尋問の結果によれば、原告車は、昭和四七年七月に大和陸運が三菱ふそうから購入し、昭和五二年一一月ころ原告東豊運輸が引き継いだ一〇トントラツクで、車体の上に生鮮食品を運ぶための保冷庫を積載した保冷車であること、本件事故により原告車は大破し、その車体部分(保冷庫を除く)については修理代金二九三万四二〇〇円相当の損害を被つたこと、原告東豊運輸は、本件事故後、原告車に代る車両として、昭和五三年一二月一九日、中古(初度登録昭和五一年八月)の保冷車を金四〇六万円で購入したこと、原告車は右中古保冷車より年式は古いけれども、保冷庫の厚みが二五ミリメートル違うなど品質は優つていること、原告東豊運輸が昭和五三年一月に購入した保冷車(新車)の価格は金九二〇万余円であり、保冷庫だけで金四〇〇万円位であることがそれぞれ認められる。

以上の事実に照らすと、原告車(保冷庫も含む)の本件事故当時の価格は、金四〇〇万円を下回らないものと認めることができ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

2  レツカー代

前掲甲第八号証及び原告東豊運輸代表者尋問の結果によれば、本件事故により、原告車のレツカー代として金七万円を要したことが認められ、他にこれに反する証拠はない。

3  休車損害

原告東豊運輸代表者尋問により真正に成立したものと認める甲第六号証及び同尋問の結果によれば、原告東豊運輸は、昭和五三年ころ、保冷車五台を有して生鮮食品の長距離輸送業を行つていたこと、原告車の昭和五三年一月から九月までの間の運賃収入は一か月平均金八二万九〇一七円であつたこと、そのうち経費として、燃料代に約二八パーセント、高速道路料金に一行程一万円弱で、一か月に平均六ないし七行程分を要し、また、毎年車両に装着されているタイヤ一〇本、チユーブ一〇本の交換費用を要すること、同社には当時、五台の保冷車を交替で運転する運転手が一〇人おり、人件費として一人あたり一か月平均金二〇万円程度を要していたことが認められ、他にこれを左右する証拠はない(なお、休車期間中に人件費の支出を免れたことを認めるに足りる証拠もない)。

右の事実に照らすと、原告車による人件費以外の経費を控除した実収入は、一か月金四九万円(売上高の約六割)を下回らないものと推認することができる。

そして、前掲甲第六号証及び原告東豊運輸代表者尋問の結果によれば、本件事故のため原告車が休車した期間は、本件事故後前記中古保冷車が購入された日の前日である昭和五三年一二月一八日までであると認められ、他にこれに反する証拠はない。そうすると、原告主張の二か月間の休車による損害(収入の喪失)は金九八万円となる。

4  保険代位

前掲甲第七号証、第八号証及び原告東豊運輸代表者尋問の結果によれば、昭和五三年一二月二日、本件契約に基づき、原告日動火災から原告東豊運輸に対し、原告車の本件事故による車両損害として金二八四万八〇〇〇円の保険金が支払われたことが認められるので、商法六六二条により、右支払額の限度で、原告日動火災は原告東豊運輸の有する損害賠償請求権を取得したことになり、他に右認定に反する証拠はない。

従つて、原告車の車両損害につき、原告日動火災が金二八四万八〇〇〇円、原告東豊運輸が金一一五万二〇〇〇円の請求権を有することになる。

5  弁護士費用

本件事案の内容、性質、訴訟の経緯、請求額及び認容額等諸般の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得る弁護士費用は、原告日動火災が金二八万円、原告東豊運輸が金二二万円と認められる。

六  以上の次第で、原告らの本訴請求は、被告ら各自に対し、原告日動火災が合計金三一二万八〇〇〇円及び内金二八四万八〇〇〇円に対する不法行為(本件事故)後で保険金支払日である昭和五三年一二月二日から、内金二八万円に対する訴状送達日の翌日(被告遠藤機設及び被告石坂は昭和五六年八月二三日、被告樋口建材は昭和五七年一一月一九日、被告村元は同年一月三一日)から各完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、原告東豊運輸が合計金二四二万二〇〇〇円及び内金二二〇万二〇〇〇円に対する不法行為(本件事故)日である昭和五三年一〇月四日から、内金二二万円に対する前記各訴状送達日の翌日から各完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから正当として認容し、その余は理由がないから失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条但書、九三条一項本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 芝田俊文)

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